社外監査役とは?社外取締役との違いや役割・要件・報酬をご紹介!

最終更新日 2023/11/15

社外監査役について、具体的に理解できていない方もいるのではないでしょうか。

企業によっては社外監査役を設置する必要があるため、社外監査役に関する基本的な知識を身につけておくことが大切です。

この記事では、社外監査役を社内に導入しようと考えている企業の担当者に向けて、社外監査役の役割や要件、報酬について解説します。

️社外監査役とは

社外監査役とは、社内から登用するのではなく、外部から採用する監査役のことです。

会社を経営していく上での業務や会計を監査し、不正がないか確認する役割を担います。

社外監査役は、よく社外取締役と混同されやすいですが、両者の役割は異なるので注意が必要です。

社外監査役の必要性

社外監査役は、全ての会社が設置する必要がある訳ではありません。

一定の条件を満たす企業のみ、社外監査役を設置することが義務付けられています。

社外監査役を設置する必要がある企業は、公開会社であり、資本金5億円以上及び負債総額200億円以上の会社です。

このため、ほとんどの企業は社外監査役を設置する義務はありません。

しかし、社外監査役を設置する義務がなくても、設置する企業もあるでしょう。

そもそも監査役を社内からではなく、社外から導入する必要があるのはなぜでしょうか。

次章で社外監査役と社内監査役の違いをご紹介します。

社外監査役と社内監査役の違い

社外監査役と社内監査役の違いは、会社と以前から関わりがあるかどうかという点です。

基本的に、社外監査役は外部から導入するのに対して、社内監査役は社内から昇進した社員が役職に就きます。

社外監査役と社内監査役の役割や権限に違いがある訳ではありませんが、外部からきた社外監査役には、客観的な視点や見解が求められるケースが多いです。

会社法第335条によると、監査役の設置に関しては以下のように定められています。

「監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。」

つまり、監査役を設置する必要がある場合、社外から監査役を雇う必要があるのです。

参考:会社法(平成十七年法律第八十六号)
社外取締役の役割とは?上場企業は会社法で設置が義務化されている?

️社外監査役の仕事内容・役割

具体的に社外監査役にはどのような役割が期待されているのでしょうか。

ここでは、社外監査役の基本的な仕事内容や役割について解説します。

業務監査

社外監査役は、法令や定款に基づいて業務を執行できているか監査する役割を担います。

日本監査役協会のホームページによると、業務監査に関しては以下のように定義されています。

「業務監査は、取締役の職務の執行が法令・定款を遵守して行われているかどうかを監査することで、一般に適法性監査と呼ばれている。」

適法性を監査するため、業務監査を遂行するには法律に関する知識を有する弁護士などの人材が適用されるケースが多いです。

参考:日本監査役協会

会計監査

会計監査は、定時株主総会前に行う業務で、監査結果を同総会で報告する役割を担います。

日本監査役協会のホームページには、会計監査に関して以下のように記載しています。

「会計監査とは、計算書類およびその附属明細書を監査することである(一部省略)。」

一般的に会計監査を担当する社外監査役は、業務監査を遂行する社外監査役とは別に雇用されることが多いです。

会計に関する知識が必要とされるので、多くの場合公認会計士や税理士が選出されます。

️社外監査役の報酬について

日本監査役協会が2020年5月に公開した調査「役員等の構成の変化などに関する第20回インターネット・アンケート集計結果」によると、常勤の社外監査役における報酬は、500〜750万円がボリュームゾーンでした。

常勤の社内監査役における報酬は1000〜1200万円がボリュームゾーンであることを考えると、社外監査役の方が報酬が少ない傾向にあることがわかります。

また、社外監査役の報酬は常勤と非常勤によっても異なります。

非常勤の社外監査役における報酬は、200〜500万円未満がボリュームゾーンです。

参考:役員等の構成の変化などに関する第20回インターネット・アンケート集計結果

️社外監査役にするための要件とは

会社法第2条第16号を引用すると、社外監査役にするための要件は、以下の通りです。

  • その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
  • その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
  • 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
  • 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
  • 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。

つまり、社外監査役は会社に関わりがなく、独立した存在である必要があります。

参考:会社法(平成十七年法律第八十六号)

社外監査役の登記について

2015年5月1日、会社法の一部が改正されたことで、責任限定契約にかかる定款の定めの有無に関わらず、社外監査役を登記する必要がなくなりました。

つまり、社外監査役の登記が必要な企業が大きく減ったのです。

社外監査役の登記は、重要な役割や権利を保護するための手続きを意味します。

社外監査役の登記には、数万円のコストがかかり、必要書類を用意しなくてはなりません。

このため、法改正によりこれらの手続きを省くことができる企業が増えたということになります。

️社外監査役を選任する上で大切なこと

社外監査役が義務付けられている企業だけでなく、社内の監査役として導入を検討している企業もあるでしょう。

では、社外監査役を選任する際には、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

ここでは、社外監査役を選任する上で注意するべきポイントをご紹介します。

資格やスキルを保有しているかを確認する

社外監査役を選任する際は、資格やスキルを保有しているかを確認することが大切です。

社外監査役の業務には専門的な知識を要します。

例えば、会計監査を担当する社外監査役の場合、会計に関する専門知識を持っている必要があるので、公認会計士や税理士などの資格が求められます。

社内に設置する監査役のスキルや実力を考慮しながら、不足している部分を補う人材を選定することが大切です。

候補を複数選んでおく

社外監査役を採用するにあたって、候補を複数選んでおくことも大切です。

候補を複数選んでおくことで、欠員が生じた場合でも柔軟に対応できるためです。

監査役会設置会社の場合、監査役を三人以上雇用する必要があります。

半数は社外監査役でなくてはならないため、候補を複数選んでおくことで、採用活動をスムーズに行うことができるでしょう。

顧問紹介サービスを利用する

外部の人材を雇用する企業は、顧問紹介サービスを利用することも有効です。

顧問紹介サービスは、専門知識を有する人材と企業をマッチングするサービスです。

顧問紹介サービスを利用することで、社外監査役としてのスキルを有する人材を効率的に探すことができます。

サービスによって特徴が異なるので、利用前にしっかりと顧問紹介サービスを比較するようにしましょう。
【関連記事】顧問紹介サービスを利用するメリットは?どのような企業が活用するべき?

️まとめ

社外監査役とは、業務監査と会計監査の役割を担う外部の監査役のことです。

社外監査役の要件として、会社との関わりがない独立した存在であることが求められます。

このため、外部の優秀な人材を社外監査役として選任することが大切です。

また、自社の業界や特徴等を考慮し、相性の良い人材を取り入れることも重要です。

社外監査役を探す際には、顧問紹介サービスを利用することも効果的です。

顧問紹介サービスに在籍している顧問の中には、社外監査役の経験や実績のある顧問が在籍しているケースもあります。

社外監査役として顧問を取り入れたいという場合は、それぞれの顧問紹介サービスを事前に確認しておきましょう。

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