最終更新日 2024/10/15
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弁護士や税理士といった士業の方と顧問契約する際、顧問契約書が必要になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、顧問契約書にどのような項目を記載するべきか、作成することでどのようなメリットが得られるのかなど、気になる方もいるでしょう。
この記事では、顧問契約書の書き方や作成するまでの流れ、収入印紙の必要性について解説します。
目次
顧問契約書の基本事項
まず、顧問契約書に記載する基本事項について解説します。
顧問契約書には、どのような内容が記載されているのでしょうか。
業務の範囲
業務範囲は、顧問契約書を作成する上で、記載しておくと良いでしょう。
業務範囲が曖昧だと、契約後のトラブルに発展する可能性があります。
当事者間で解釈の違いが出ないようにしっかりと話し合い、双方が納得のいく内容にしましょう。
「乙が甲に提供する顧問業務は、以下の通りとする。」と記載して、箇条書きで業務範囲を記載するのが一般的です。
顧問料などの報酬や費用
顧問料などの報酬や費用も、明確に記載しましょう。
別途料金が発生する際の条件や、別料金の計算方法などもすべて記載します。
契約書に使われる一般的な文言は、以下の通りです。
- 「1.甲は、毎月〇日までに金○円(消費税別)を、顧問業務の報酬として乙に支払うこととする。」
- 「2.1の顧問報酬の支払いは、乙が別途書面で指定する金融機関口座への振り込みによって行う。」
【関連記事】外部顧問の報酬相場は契約によって変わる?常勤と非常勤で報酬は異なる?
義務に関する記載
誠実義務や競業等避止義務、守秘義務などは、企業の利益や機密情報を守るために必要です。
このため、契約書に必ず記載しましょう。
一般的な内容は、以下の通りです。
- 「1.乙は顧問業務を実行するにあたり、善良なる管理者の注意義務をもって、甲の最善の利益を損なわないように誠実に、これを遂行しなければならない。」
- 「2.乙は、甲と競合関係になる事業を営む場合、もしくは甲と競合関係になる事業を営む会社において役員に就任し、従業員として雇用され、または顧問として就任する場合には、事前に甲の承諾を受けなければならない。」
- 「3.甲および乙は、本契約に関して知り得た相手方、相手方の子会社、相手方の関連会社、相手方の役員、相手方の従業員、相手方の取引先等の事業情報および技術情報、その他一切の情報を、管理担当者を置き情報に接する者を制限して厳に秘密として管理し、本契約の目的にのみ使用して他の目的のために使用してはならない。」
契約期間
顧問契約を継続する期間を記載します。
有効となる契約期間や、期間到来後に自動更新する条件などを記載しましょう。
契約期間の記載例は、以下の通りです。
- 「1.本顧問契約の有効期間は、契約を締結した日から○ヵ月間とする。」
- 「2.本顧問契約が期間満了する○か月前までに、甲乙のいずれもが、本契約を有効期間満了時において終了する旨を通知しない限り、本顧問契約はさらに○ヵ月間有効とし、以後も同様とする。」
契約の解除に関する内容
顧問と企業が顧問契約を解除できる条件について記載します。
直ちに契約を解除できる事項については、基本的にテンプレートを活用し、当契約において特別に発生する条件などは、必要に応じて追加すると良いでしょう。
契約の解除に関する記載の例は、以下の通りです。
- 「1.甲および乙は、相手方が本契約に違反した場合に、相当の期間を置いて催告したにもかかわらず是正されないときは、本契約を解除することができる。」
- 「2.甲および乙は、相手方が次の各号のいずれかに該当したときは、催告その他の手続を要することなく直ちに、本契約を解除することができる。」
顧問契約書を作成するまでの流れ
顧問契約書は、当事者間の話し合いのもとで、作成するのが一般的です。
実際に作成するまでにいくつかステップがあるため、それぞれ解説します。
顧問を紹介してもらう
顧問サービスに登録し、契約の相手方となる顧問を紹介してもらいます。
最適な顧問を紹介してもらうには、ヒアリング時に自社のニーズや目的を正確に伝えることが大切です。
顧問サービスへの登録は、問い合わせフォームに情報を入力するだけで完了するケースが多いです。
【関連記事】顧問紹介サービスを利用するメリットは?どのような企業が活用するべき?
顧問料や業務内容を確認する
顧問紹介サービスから顧問を紹介してもらった後は、当事者間で顧問料や業務内容について確認します。
ここで決まったことは契約書に反映されるため、後々のトラブルに繋がらないように細かい部分まで決定しましょう。
一般的に重要とされる項目は、以下の9つです。
- 顧問料の金額
- 顧問料を支払う日時
- 顧問料の支払い方法
- 顧問が責任を持つ業務の範囲(顧問料の範囲内でどのような業務を行うのか)
- 基本料金とは別に発生する料金の有無
- 別途料金が発生する条件
- 別途料金の金額を計算する方法
- 当事者間で契約を解除できる条件(双方の意思に関わらず強制的に解除できる条件なども)
- 契約を途中解除した場合の顧問料の扱い
顧問契約書を作成する
当事者間で話し合った内容をもとに、顧問契約書を作成します。
顧問契約の経験がある人との取引では、相手方が契約書のテンプレートを用意してくれることも多いです。
顧問契約の経験が浅い人との取引では、企業側が別途書類を用意する必要が出るケースもあります。
顧問契約書の最終確認を行う
顧問契約書を作成したら、契約内容に間違いや不備がないか最終確認を行います。
当事者間で認識の異なる部分があると、後々トラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。
ヒアリング時や面談時に決まった内容がきちんと反映されているか、人によって異なる解釈ができる文言がないか、確認しましょう。
顧問契約書に収入印紙は必要?
顧問契約書に収入印紙が必要かどうかは、契約の種類によって異なります。
契約によって収入印紙が必要になったり、不要になったりするケースがあるため、事前に確認しておきましょう。
顧問契約書における収入印紙の取り扱いについて解説します。
委任契約の場合
印紙税法によると、委任契約で作成した契約書は収入印紙の貼り付けが義務付けられた「課税文書」に当たりません。
このため、委任契約の場合は、収入印紙がなくても契約書を作成・保管することができます。
請負契約の場合
請負契約で作成した契約書は、印紙税法に規定された課税文書にあたるため、収入印紙の貼り付けが必要です。
収入印紙なしで作成した場合、法的な書類として認められないため、注意しましょう。
継続的に取引を行う場合
3ヶ月以上、継続的に取引を行う場合は、印紙税法における第7号文書にあたるため、必ず4,000円の収入印紙を貼る必要があります。
委任契約の場合でも、3ヶ月以上の契約期間がある場合は収入印紙を貼りましょう。
顧問契約は長期的な契約になることもあるため、注意が必要です。
顧問契約書を作成する際の注意点
顧問契約書を作成する際にミスをしてしまうと、後々トラブルに発展してしまう可能性があります。
以下で、顧問契約書を作成する上で注意するべき点について、解説します。
税理士や弁護士は自身で顧問契約書を持っていることもある
顧問弁護士や顧問税理士との契約では、顧問契約書のテンプレートが用意されている場合があります。
顧問契約に慣れているケースも多く、契約書の内容に大きな問題があることは少ないでしょう。
しかし、契約を締結する際には、契約書の内容を確認することが大切です。
顧問契約書のひな形を活用する
顧問契約書を作成する際は、既に基本的な契約内容が記載されているひな形を活用するとよいでしょう。
契約書を一から作成すると、話し合った内容を契約書に反映するだけでも、大きな手間と労力がかかります。
顧問契約の目的は、自社のニーズを解決することであり、契約書を作成する作業は、できるだけ減らした方が良いでしょう。
ただし、契約書のひな型はそのまま使用すると、自社によって不利な内容になる可能性もあるため、注意が必要です。
業務の範囲が明確であるか
顧問料の範囲内で行う業務・サービス内容が、明確になっているか確認しましょう。
業務範囲が不明確だと、顧問との連携にミスマッチが生じ、思ったようなサービスを受けられなくなる可能性があります。
業務範囲の項目は、第1項で業務を行う頻度や具体的な内容を記載するのが一般的です。
また、基本契約のほかに個別契約を結ぶ可能性がある場合は、第2項で契約締結の条件や内容を規定します。
提示された顧問契約書の内容が古くないか
更新日時が古いひな型は、最新の法改正に対応していない可能性があります。
契約書の内容が古いと、法的な書類として認められないこともあるため、注意が必要です。
普段から法改正の情報をチェックし、定期的にひな型の内容を見直すことが大切です。
心配な方は、顧問契約書が必要になった際に、その都度、最新版のひな型を活用すると良いでしょう。
顧問と契約をする上で活用すべきサービス
顧問と契約をするうえで活用すべきサービスとして、代表的なものにHiPro Bizというサービスがあります。
HiPro Biz(ハイプロビズ)は、転職サービスdodaで有名なパーソルキャリアが運営している顧問・フリーランス紹介サービスです。
人材紹介・人材派遣や求人情報など、人事に関する事業の実績と知名度を活用し、能力・実績を兼ね備えた人材が多数登録されています。
・登録人数:24,000名以上
・取引企業数:4,500社以上
(2024年3月現在)
登録している人材の層が厚く実務経験者が多いため、企業の様々なニーズに応え、細かいサポートを行うことが可能です。
また、ニーズに合わせて複数の契約プランも用意しています。
まとめ
顧問契約書は、顧問と企業が良好な関係を保つために必要なものです。
トラブルになりやすい業務範囲や報酬などの項目を中心に、気になることはすべて契約書内に記載しましょう。
一から作成するのは大変であるため、基本的な項目についてはひな形を活用し、当契約において発生する特別な条件については必要に応じて項目を追加します。
また、ひな形の内容が古いこともあるため、注意が必要です。
顧問契約書を作成する際にミスが起こることもあるため、確認を怠らずに作成するようにしましょう。
監修者情報
パートナー企業開発部門を経て、金融業界向けコンサルティングセールス業務に従事。
その後、ヘッドハンティングされWeb系スタートアップ企業の取締役等を歴任。
Webコンサルティングやメディアを運営するアークワードコンサルティング社を創業。