社外取締役の報酬相場はどのくらい?大企業と中小企業で報酬が異なる?

最終更新日 2023/11/15

企業において、社外取締役を設置することで様々なメリットがあるため、設置が義務付けられていない場合でも、設置を検討している企業もあるでしょう。

社外取締役の報酬の相場は、企業の規模や国によって大きく異なります。

では、社外取締役を設置する場合、大体どのくらいの報酬が目安になるのでしょうか。

今回の記事では、社外取締役の報酬について解説します。

️社外取締役の報酬相場はどのくらい?

社外取締役の報酬相場は企業の規模や業務範囲、国によって異なります。

以下で、様々な条件ごとの報酬相場をご紹介します。

日本の社外取締役の報酬相場

ウイリス・タワーズワトソンが2020年8月に実施した調査によると、日本の社外取締役の報酬相場は1,430万円です。

なお、調査の対象となった日本企業は以下の通りです。

  • 時価総額上位100社かつ売上高等1兆円以上の企業72社のうち、分析時点での有報未提出企業2社を除く70社における連結報酬等の中央値

同ページによると、日本の社外取締役の報酬相場は、前年と比較して大きな変化はありません。

海外における社外取締役の報酬の目安

次に、海外における社外取締役の報酬の目安をご紹介します。

  • アメリカ:3,270万円
  • イギリス:1,620万円
  • ドイツ:2,290万円
  • フランス:980万円

こちらを確認すると、圧倒的にアメリカの報酬が大きいことがわかります。

続いて、ドイツ、イギリスという順位になっており、日本の社外取締役の報酬はイギリスとフランスの間に位置します。

取締役会議長を兼任する社外取締役の報酬目安

上記で紹介した調査によると、社外取締役のみを務める場合と比較すると、取締役会議長を務める社外取締役の総報酬水準が、全体的に高い傾向にあります。

取締役会議長を兼任する社外取締役の報酬目安は以下の通りです。

  • アメリカ:5,480万円
  • イギリス:7,960万円
  • ドイツ:4,930万円
  • フランス:6,090万円

取締役会議長を兼任する社外取締役の報酬は、アメリカではなく、イギリスが最も高いです。

続いてフランス、アメリカと続くことから、社外取締役のみを務める場合と順位が異なります。

社外取締役が株式報酬を受け取る企業の割合

社外取締役が株式報酬を受け取る企業の割合は、以下の通りです。

  • アメリカ:99%
  • イギリス:20%
  • 日本:10%
  • ドイツ:4%
  • フランス:0%

アメリカのほとんどの社外取締役は、株式報酬を受け取っています。

社外取締役の報酬も比較的高いことから、社外取締役の地位が確立されていることがわかるでしょう。

ただし、機関投資家のほとんどは、社外取締役の独立性を重視しているのが現状です。

このため、社外取締役が株式報酬を受け取ることに対して肯定的な意見を持っていない人も一定数存在しています。

参考:ウイリス・タワーズワトソン 『日米欧社外取締役報酬比較』 2020年調査結果

️大企業と中小企業における社外取締役の報酬の違い

社外取締役の報酬相場は企業の規模によっても異なります。

ここでは、大企業と中小企業における社外取締役の報酬の違いをご紹介します。

大企業

経済産業省が2020年5月に実施した調査によると、企業規模が大きい方が社外取締役の報酬が高いです。

JPX400企業の社外取締役において、ボリュームゾーンは1,200〜1,400万円です。

一方、それ以外の社外取締役は600〜800万円になっています。

時価総額別に確認しても、時価総額1,000億円以上の企業の社外取締役におけるボリュームゾーンは1,200〜1,400万円です。

また、これ以外の社外取締役のボリュームゾーンは、600〜800万円です。

ベンチャー企業に関しても、企業の規模により社外取締役の報酬相場は大きく異なります。

参考:経済産業省 社外取締役の現状について

️社外取締役に支払う報酬が高いケース

企業規模が大きいと社外取締役の報酬が高くなることがわかりましたが、他にも報酬が高くなりやすいケースがあります。

ここでは、社外取締役に支払う報酬が高いケースについて、解説します。

社外取締役が経営に関わっている場合

社外取締役の基本的な役割として社内業務の監督が挙げられますが、社外取締役が経営に関わっている場合は、報酬が高くなる傾向にあります。

このようなケースでは、企業の成長に繋がるノウハウや専門知識を活かし、事業戦略や事業計画にアドバイスを行います。

ただし、社外取締役には業務を直接遂行する権限はないので、助言やサポートが基本的な役割です。

各企業によって社外取締役が行う業務は異なるのです。

社外取締役としての経験がある場合

社外取締役としての実務経験がある場合、報酬が高くなる傾向にあります。

すでに経験があるので、報酬の目安や仕事の進め方などに理解があるためです。

また、社外取締役の中には社外取締役を兼任している人も存在します。

前章で紹介した調査によると、社外取締役の兼任数を制限している場合、自社以外に3〜4社に制限している企業が多いです。

知見やスキルが備わっている場合

知見やスキルが備わっている社外取締役を採用する場合は、支払う報酬が高くなります。

報酬が安すぎると、優秀な社外取締役を取り入れることは難しいです。

例えば、経営経験者や弁護士、公認会計士、税理士など、専門知識を持っている職務経験のある人材のニーズは高い傾向にあります。

社内に不足しているスキルをカバーできるため、市場価値も高くなるのです。

ただし、契約形態や様々なサービスを活用して工夫することで、優秀な人材をできるだけ費用を抑えて社外取締役として導入することも可能です。

【関連記事】外部顧問の報酬相場は契約によって変わる?常勤と非常勤で報酬は異なる?

️優秀な社外取締役を導入するには?

社外取締役は、自社にとって様々な良い影響を及ぼすことが期待できる存在です。

では、優秀な社外取締役を自社に導入するにはどのようなことが必要なのでしょうか。

ここでは、優秀な社外取締役を導入するためのポイントをご紹介します。

顧問を活用する

優秀な社外取締役を自社に導入する方法として、顧問を活用する方法が有効です。

顧問とは、各分野の専門的な知見を保有した人材のことです。

例えば、経営経験のある顧問を自社に取り入れることで、企業の経営に関するアドバイスをもらうことができます。

このように、顧問を社外取締役として導入すれば、様々な課題の解決に繋がるのです。

顧問紹介サービスを利用する

顧問紹介サービスとは、企業と顧問をマッチングさせるサービスです。

企業のニーズにあわせた顧問を効率的に見つけられるため、多くの企業が利用しています。

顧問紹介サービスに在籍している顧問は、各専門分野での知見や実績があるため、自社の課題を解決するために効果的な存在です。

ただし、顧問紹介サービスの種類も様々であるため、自社にとって最適な選択をすることが大切です。

また、利用する顧問紹介サービスを選定する際は、優秀な顧問が多数在籍している顧問紹介サービスを選ぶと良いでしょう。

サービスによっては、社外取締役に強い顧問が在籍しているケースもあるため、それぞれのサービスの特徴を事前に確認することが大切です。

【関連記事】顧問紹介サービスを利用するメリットは?どのような企業が活用するべき?

️まとめ

社外取締役の報酬相場は、企業規模や国、業務内容によって大きく異なります。

また、社外取締役が経営に関わっている場合や社外取締役としての経験がある場合、知見やスキルが備わっている場合などは、報酬が高くなる傾向にあります。

自社に最適な社外取締役を導入するには、報酬と、人材のスキルや知識のバランスを考慮して決めることが重要です。

優秀な社外取締役を導入するには、顧問を活用することも有効です。

顧問は、様々な現場で実績があり、各専門分野の知見が豊富な人材が多いです。

各分野の知見が豊富であり、実績のある顧問を探すためには、顧問紹介サービスを利用すると良いでしょう。

顧問紹介サービスは、企業のニーズにあわせた顧問を効率的に探すことができるサービスであるため、自社にとって最適な人材を見つけることが可能です。

それぞれの顧問紹介サービスを比較検討し、どのサービスが自社のニーズに適しているかを踏まえて、選ぶと良いでしょう。

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