最終更新日 2023/11/15
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」を略した用語で、デジタル化を通じてビジネスを拡大したり、イノベーションを創出したりする取り組みのことを指します。
日本の企業は海外企業と比べてDXが遅れていると言われており、経済産業省も補助金制度の創出やガイドラインの提示などを通じて日本企業のDX促進に向けて動いています。
DXが叫ばれている領域のうちの一つが「営業」です。
今、営業はシンプルなテレアポやメルアポを超えて、DX化を進めていくことが求められています。
今回は、特に営業のDXについて、そもそもなぜ必要なのか、どのように進めていけばよいのかを解説します。
目次
営業におけるDXとは
そもそも、営業における「DX」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
営業のDX
DXとは、デジタル化を通じて業務効率化を図ったり、ビジネスを拡大することです。
このため、当然ながら営業のDXとは、デジタル化を通じて営業活動の効率化を図り、営業による売上をあげること、となります。
具体的には営業活動をデジタル化によって可視化することが手段として活用されることがほとんどです。
営業活動をデジタルに落とし込み、可視化することによって管理やナレッジシェアが活発になり、効率化や売上貢献が期待できます。
なぜ従来のスタイルから脱却する必要があるのか
営業のDXについて、必要性に疑問を持つ人もいます。
特に、現状個人の営業マンの裁量に合わせてテレアポやメルアポを行い、新規顧客を開拓したり、既存顧客とコミュニケーションをとるスタイルで成功している会社などは、特に営業活動を可視化する必要性を感じていないことも多いでしょう。
しかし、中長期的には、こうした従来のスタイルから脱却しなければなりません。
なぜならば、そもそもの労働人口減に伴って、効率化が必須となってくるからです。
今は既存のスタイルで成功している企業であっても、労働人口減による人件費高騰により雇える人数が減ってしまった場合は、属人化した仕組みは崩壊してしまいます。
こうしたリスクに備えて、あらかじめ営業のDXを進めておく必要があると言えます。
営業にDXが必要な理由
ここでは、より具体的に営業にDXが必要な理由を解説します。
属人的な営業からの脱却
どのように営業で成果を出したのかその人しか知らない状況だと、他の社員が次の営業活動をする時にその経験を活かせず営業効率が上がりません。
しかし、DXによって営業活動を可視化、定量化することによって、エース社員は営業の全体フローの中で何が得意なのか、そしてどのように進めているのかが営業組織全体として把握しやすくなります。
このように、DXを進めることで属人的な営業から脱却し、営業組織全体の効率をあげることができます。
インサイドセールスの実現
インサイドセールスとは、実際にクライアントのオフィスに足を運んだり、飛び込み営業をしたりすることなく、オフィス内から営業をする職種のことです。
DXが進んでオンラインでクライアントに提案、サポートができるようになればオフィスから出て営業をかける必要性が薄くなり、全体の業務効率化に貢献します。
マネジメントの効率化
営業のDXは、営業マンを統括するマネージャーにもプラスの影響を与えます。
営業が属人化している場合、各営業マンの評価やマネジメントを行う共通基準が少なく、マネジメントが属人的になってしまいます。
一方でDXにより営業活動全体のフローが可視化され、営業マン個々の活動も記録するようになれば、平等な評価、マネジメントをしやすくなります。
業務の効率化
属人性の排除、インサイドセールスの実現、マネジメントの効率化などが合わさり、営業組織全体としての業務効率化を実現できます。
DXが成功すれば、社員一人当たりの負担は下がっているにも関わらず、営業効率の向上により顧客獲得数や売上は上昇することが期待できます。
BCP対策
DXにおいて、効率化によるビジネス拡大以外に、もう一つ重要な観点があります。
それが「BCP対策」です。
BCPは、Business Continuity Plan、すなわち事業継続計画の略であり、災害時でも事業を継続できるような柔軟な仕組みのことを指します。
災害の多い近年では、災害時でも事業を止めず売上を作ることができる体制は非常に重要です。
例えば新型コロナウイルスにより緊急事態宣言が出た際、DXが進んでいればスムーズにオンライン商談で営業を継続できますが、DXが進んでいない企業はリモートワークを導入できず社員の反感を買ったり、事業継続が困難になったりします。
このようにDXを進めることは、災害時へのリスクヘッジにもなるのです。
営業におけるDXはどのように進めるのか?
営業活動を効率化したり、災害時でも事業を継続できる体制を構築するDXによって、ビジネスを拡大させることは非常に重要です。
しかし、実際にDXに対する知見が社内にない状態では、どのように進めるのかのイメージがつかない方も多いのではないでしょうか。
DXは、具体的には以下のようなポイントに注意して進めるのが望ましいでしょう。
目標の明確化DXにありがちな失敗が、「デジタル化」そのものが目的になってしまい、デジタル化を通じて何を成し遂げたいのかが明確にならない、という事態です。
このような事態を防ぐため、まずはDXを通じてどのような目標を達成したいのかを明確にし、関係者全員で合意することが大切です。
プロセスの再構築
目標を設計した後は、現在の営業プロセスがどのようになっていて、どこを変えればより効率化が測れそうか、何を可視化できれば属人化を防げそうか、といった論点から営業プロセス全体を再構築します。
ツールの策定
営業プロセス全体を再構築したら、そのプロセスを実際にデジタルで可視化し、運用できるツールの選定や開発を行います。
DX人材の選別
上記のようなDX全体を推進するにあたって必要なのが、デジタルの知識が豊富なDX人材です。
DX人材が社内にいない場合は、外部から採用する必要性があります。
この場合、正社員として採用する方法と、外部人材の活用サービスを利用する方法があります。
営業におけるDXの具体的な活用事例
営業職の廃止(富士通)
富士通では、DXを通じてそもそもの「営業」という役割を見直し、ビジネスプロデューサー職を設置しました。
ビジネスプロデューサー職は、より顧客を直接サポートする立場です。
これは、営業活動全体のDXによりいわゆるフロントコミュニケーションとしての営業が必要なくなり、より本質的な顧客の課題解決に社員が集中できるようになった、というポジティブな変化を表しています。
※参考:営業活動に変革をもたらすDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?導入のメリットや成功事例も紹介
オンライン商談
オンライン商談は、新型コロナウイルスの蔓延によって浸透した典型的なDX事例の一つです。
オンライン商談が普及したことにより営業担当の移動工数が効率化され、より顧客への本質的な提案に時間を使えるようになったという側面があります。
SFA
SFAとは営業支援システムの略で、営業ステータスの可視化、商談の履歴管理など、営業活動に関するデータを集約して可視化し、営業活動をサポートするサービスのことを指します。
こうしたSFAもDXの良い例です。
まとめ
DXは、今後減少していく労働人口をカバーするためにも必須の取り組みの一つです。
目標を設定し、プロセスを再構築していくことで営業活動の効率化に貢献します。
一方で、こうしたDXの推進は非常に難易度が高いため、DXに精通した人材を活用するのがおすすめです。
顧問サービスであれば実績のある外部人材を、採用のコストを抑えて活用することができます。
営業のDXを検討している方はぜひご覧ください。