デジタルトランスフォーメーション(DX)の進め方・注意点とは?

最終更新日 2023/11/15

DXとは、近年のビジネス界において非常に重要なトピックとなっている言葉です。

DXは、「デジタルトランスフォーメーション」の略であり、トランスフォーメーションが英語圏ではXと略されることが多いため、DXと呼ばれています。

DXは、デジタルにどんどんトランスフォームしていくこと、すなわちデジタル化、IT化を進めてビジネスを効率化したり、革新的なイノベーションを起こすことを示しています。

デジタル化を進めることでデジタル化が進んでいない企業よりもビジネス競争力が増したり、世界にインパクトを生み出すイノベーションを起こすことができる確率が高まります。

このため、日本政府も企業のDXを重視しており、DXをサポートする様々な仕組みを整えています。

今回は、DXをどのように進めていけばわからない方向けに、DXの進め方を解説します。

DXの詳細な説明、なぜ進め方を理解する必要があるか

まずは、改めてDXがどのようなものかを説明し、なぜDXは進め方を理解してから始める必要があるかを解説します。

DXのざっくりとした説明

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略であり、デジタル化を通じてビジネスの効率化やイノベーションの創出を目指す取り組みのことを指します。

つまり、世界全体がデジタル、すなわちオンラインと、オフラインの境目がなくなってきている中で、ビジネス界においても当たり前にデジタル技術を活用してより革新的なビジネスをしていこう、というのが目的です。

IT化とDX化の違い

DXと混同されやすい言葉として、「IT化」があります。

しかし、IT化はDXとは似て非なる概念です。

確かに、IT化と「デジタル化」であればほぼ似たような意味になることは間違いありません。

しかし、上述の通りDX化はあくまでもデジタル化、IT化そのものが目的になっている訳ではなく、最終ゴールは業務の効率化やイノベーションの促進によるビジネスそのものの拡大です。

IT技術の活用を目的と捉えるか、手段と捉えるかが、IT化とDXの違いです。

ビジネス面からのDXの意味合い

IT化とDXの違いからわかるように、DXはあくまでビジネスゴールとしての側面を強く持つものであり、企業の競争力そのものを高めるための動きであるといえます。

つまり、実際にデジタル技術をもつエンジニアだけに限った問題ではなく、企業の経営陣が先陣を切って取り組むべき問題であるということを意味しています。

経済産業省がDXを提唱

経済産業省も、日本企業の国際競争力を高めるためDXを推奨し、ガイドラインの提唱や補助金の拡充などをおこなっています。

経済産業省は、2025年までに日本企業がDXを達成できなかった場合、レガシーシステムの維持費や事故による被害、競争力の低下による機会損失などの影響で、毎年12兆円もの損失が発生すると試算しており、「2025年の崖」と称して警鐘を鳴らしています。

つまり、DXは国も危機感を持って取り組みを進めている国家的な課題であるといえます。

DX推進ガイドラインとはなにか

経済産業省は、DXの進め方がわからない企業に向けて、DX推進ガイドラインというものを提示しており、そこにはDX推進のための経営のあり方、仕組みについて記載されています。

DXの進め方がわからない、イメージがつかないという企業経営者、担当者の方はまずはDX推進ガイドラインを読んでみるとよいのではないのでしょうか。

※参考:DX推進ガイドライン

なぜ進め方の理解が重要か

DX推進ガイドラインを経済産業省が提示していることからわかるように、DXにおいては進め方の理解が非常に重要です。

なぜならば、DXはあくまでデジタル化が目的ではなくデジタル化を通じたビジネスの拡大、イノベーションの創出が目的のため、経営陣をはじめ、会社全体が一丸となって進めていく必要があるからです。

このような全社プロジェクトは当然慎重に進めていく必要があり、全社的な理解がないまま担当者だけが進めようとしてもうまくいかないことが多いです。

このため、経営幹部がDXの進め方をしっかりと理解し、方針を立案することが非常に重要になってきます。

中小企業でもできる具体的なDXの進め方(プロセス)とは

続いて、資金やDXに関する知見を持つ人材が少ない場合であってもできる具体的なDXの進め方を紹介します。

DXプロジェクトの目標を明確にする

DXは、あくまでデジタル化を進めることではなく、デジタル化を通じてビジネスを拡大させることです。

このため、まずは「デジタル化を通じて何をしたいのか」という目標の部分を明確にすることが大切です。

業務効率化によって固定費を〇〇円削減する、〇〇年までに自社の培ってきた技術と最新のデジタル技術を掛け合わせた新規事業を創出する、などが目標の例として挙げられます。

経営層の課題を理解する

DXを推進する担当者がいる場合、その担当者がまず一番最初にやるべきことは、経営層の課題を理解することです。

なぜならば、DXはビジネスを拡大させるのが目的であり、達成するためには経営層の理解とコミットメントが必須であるからです。

経営層の課題と、担当者が設定した目標がうまくマッチしていないと経営層のコミットメントを引き出せないだけでなく、むしろ反対に合うリスクも大きいです。

このため、経営層の課題をしっかりと理解し、全社で一丸となってDXを推進していく必要があります。

DX推進チームを組織する

DXは、全社が一丸となって進める必要がある非常に重要な取り組みです。

このため、一人、二人の担当者ベースでは、なかなかDXを推進しきることが難しいのが現状です。

各部署から協力者を集めて、DX推進チームを組織するのが良い進め方であるといえます。

ただし、チームを組織したとしても、経営陣の理解が得られなければ意味がありません。

また、DX推進チーム自体に一定の権限がなければ、DXに関心の薄い部署はDX推進チームに協力をしない可能性があります。

このため、DX推進チームは経営陣がチームリーダーを務めるのがベストです。

現状の分析、課題を特定する

DXを推進する体制が整ったら、まずは現状の業務、ビジネス全般に関する課題を分析し、どのように解決していくべきかを整理します。

ここで重要なのは、手段が目的化することを避けるため、ツールの導入など最初からデジタル化を前提とした課題探索をするのではなく、ビジネス全般、業務全般に関する課題を洗い出すことが大切です。

戦略を策定する

現状の分析を行い課題を特定したら、それらをどのように解決していくべきかの戦略を策定します。

この際に、はじめてデジタル化でどのように解決していくべきか、という論点が登場するのが理想です。

戦略策定時には、経営陣も交えて議論することが求められます。

優先順位を決める

戦略を立案し、ビジネス上の課題とデジタル化による解決策が見えてきたら、どういったタイムスケジュールで、何から取り組んでいくかの優先順位を決めます

もちろん重要な取り組みから進めていくのが前提となりますが、まずは小さい課題から解決していくという手法もあります。

小さく解決しやすい課題からはじめて結果を出すことで、社内でDXに対して疑念を抱いていた社員を納得させることができるという効果があります。

細かな業務をデジタル化する

上述の通り、まずはスモールスタート細かな業務をデジタル化していくのが理想です。

現場の小さな課題を拾って解決することで現場社員を味方につけることができ、社内全体のDXに対する前向きな雰囲気の醸成につながります。

組織のワークフロー全体をデジタル化する

細かな業務のデジタル化により小さな成果が生まれ始めたら、組織のワークフロー全体のデジタル化に取り組みます。

小さな成果を事前に生み出してから進めることによって、全社の協力を得やすいのがメリットです。

ビジネスモデルをデジタル化する

組織のワークフロー全体のデジタル化により、業務効率化が促進されてくると、DXがかなり社内に浸透している状況になります。

そういった状況こそ、会社の既存の強みとデジタルを組み合わせたイノベーションが起こりやすいです。

このように、細かな業務から徐々に範囲を広げていき、最終的にはビジネスモデルをデジタル化し事業貢献に繋げることが重要です。

評価する

一連のDXにおいて、全てがスムーズにいくとは限りません。

細かな業務をデジタル化する段階で、混乱を招いてしまうこともあるでしょう。

このような場合にDXを廃止するのは適切ではありません。

大切なのは、あくまでDXによる中長期的なビジネス拡大を目的とした上で、足元の取り組みをしっかりと評価し、PDCAを回すことです。

DXの進め方に関する注意点

続いて、DXの進め方に関する注意点を紹介します。

DXを実施すること自体が目的化してしまう

DXの目的は、あくまでビジネスの拡大、イノベーションの創出です。

デジタル化が目的化してしまっては意味がありません。

責任者が不在になってしまう

DXは全社を巻き込むべき大きなプロジェクトであるため、強力な権限と責任を持ってDXを推進する責任者は必須です。

責任者が不在だと推進や振り返りがうまく機能しません。

特定部署だけで終わる

DXは、会社がおこなっているビジネス全体の拡大が目的です。

特定部署だけでDXが成功してもシナジーは生まれません。

あくまで経営陣が旗振りを行い、全社的に波及させていくことが大切です。

PDCAサイクルを回せない

上記のようにDXを実施すること自体が目的化していたり、責任者が不在だったりすると、適切な振り返りができず、PDCAが回せません。

常に改善を続けていくためにも、振り返りができる体制、それを次に繋げる体制づくりが非常に重要です。

失敗事例から学ぶDXの進め方

最後に、失敗事例から学ぶDXの進め方を紹介します。

目標が明確にされていない

目標が明確にされていないと、手段が目的化しやすく、失敗に陥ることが多いです。

まずはDXの目標を明確にし、それを関係者全員に共有することが重要です。

DXに関する知識が少ない

DXを推進しようとしても、デジタルに関する知見を持つ人材がいないと、進め方のイメージがつかめずに失敗することがあります。

このような場合は、まずDXに詳しい人材を採用するか、顧問サービス等をつかって外部人材を活用するのがおすすめです。

DX推進の体制が整っていない

DXを誰が進めるのか責任が不在であり、体制が整っていない場合は、うまく推進できずにDXがたち消えになってしまうことがあります。

まずは経営陣が旗振りをおこなってDX推進の体制づくりをすることが重要です。

まとめ

DXは、中長期的に日本企業がビジネスを拡大させ、国際競争力を確保していく上で非常に重要な概念です。

ただし、あくまでビジネスの拡大が目的であるため、デジタル化をすることだけが目的になってしまうと失敗しやすくなります。

また、社内にDXに詳しい人材がいないことで体制づくりができないのもDX失敗の一因です。

このような課題を解決するためには、DXに詳しい外部人材を活用するのが賢明です。

ビズブリッジでは、複数の外部人材活用サービスを比較検討することができます。

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