最終更新日 2024/10/15
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顧問や相談役は、経営上の課題についてプロフェッショナルの立場からアドバイスを行う役割があります。
どちらも会社法に記載されている正式な役職ではないため、詳細について理解できていない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、顧問と相談役の違いについて解説します。
目次
顧問と相談役の役割の違いについて
顧問と相談役の役割には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの違いについて、解説します。
顧問の役割とは?
顧問の役割とは、高度な専門スキルや経験をもとに、企業のニーズや課題を解決するためのアドバイスを行うことです。
会社法上で認められた役職ではないため、会社の意思決定を決める権限はありません。
基本的には会社を支える立場ですが、企業によっては役員並みの影響力を持っている場合もあります。
場合によっては、名誉職として顧問になっている可能性もあります。
相談役の役割とは?
相談役の役割とは、企業から経営上の課題に関する意見を求められた際に、アドバイスを行ったり、第三者視点の社外からの意見を言ったりすることです。
顧問と同じく、会社法で認められた役職ではないため、会社の意思決定を決める権限はありません。
顧問と同様、サポート役として活躍するケースが多いですが、企業によっては役員と兼任していることもあります。
顧問は外部に依頼することも多い
顧問は、経営顧問や弁護士、税理士といった外部の専門家に依頼するケースも多いです。
外部顧問は高度な専門スキルや経験をもっており、社内には存在しない知見やノウハウを提供してくれます。
一方、相談役は外部の人間が就任することはほとんどなく、主に社長や会長職を経験した社内OBが選ばれます。
外部的な視点を持っている人よりも、社内での調整等を行うことができる人が相談役としてなるケースが多いです。
顧問は専門分野に特化した人材が多い
外部顧問は、弁護士や税理士、プログラマーなど専門的なスキルや経験を持った人材が多いです。
企業のアドバイザーとして活躍するためには、さまざまな分野の専門家である必要があります。
一方、相談役に特別なスキルや経験などは必要ありません。
社内調整が主な役割であるため、特別なスキルや経験よりも、社内事情に精通していることが重要です。
顧問の中でも、内部顧問はより、相談役に近い存在といえるでしょう。
相談する頻度が違う
顧問と相談役では、企業から相談を受ける頻度も異なります。
顧問は、日常的に企業から経営上の問題に関する相談を受けますが、相談役は、基本的に突発的な問題が起きた時に対応を行います。
このため、顧問は、より深い部分までの課題を解決することができるでしょう。
️顧問と相談役の待遇に違いはある?
顧問と相談役は、就任する人材や社内での役割のほかに、待遇面に違いはあるのでしょうか。
結論、顧問と相談役の待遇に、根本的な違いはありません。
ただし企業の事業規模や契約内容によっては、待遇面に差が出るケースもあります。
顧問と相談役における待遇の違いについて解説します。
常勤と非常勤で異なる
顧問と相談役は、役員と同程度の待遇を受けられるのが一般的です。
ただし、常勤か非常勤かで、支払われる報酬額に大きな違いがあります。
常勤の場合は役員と同程度の待遇を受けられるため、年収1千~3千万円程度になることも珍しくありません。
しかし、非常勤の場合は、役員と同程度の待遇が保証されておらず、無報酬でも良いとされています。
これは、非常勤の顧問が月に数回しか会社に出社しないことや、常勤顧問と比べて会社に対する貢献度が低いことなどが主な理由です。
雇用か委任かよっても変わる
会社内に顧問と相談役を設置する場合、契約の形態に関しては企業の裁量に委ねられています。
顧問契約や相談役の契約は、委任という形で行われるのが一般的です。
常勤顧問の場合は、雇用契約になるケースもあります。
雇用契約とは、労働者が提供した労働に対し、使用者が一定の報酬を支払う契約のことです。
雇用契約を前提とする給与をもらったり、労働者の生活を保障する社会保険に加入できたりします。
委任契約とは、一方が業務を委託し、もう一方がそれを承諾することで成立する契約のことです。
顧問契約や相談役の契約は、こちらの形態で行われることが多いでしょう。
企業によって収入が決まる
各企業の給与相場や顧問の業務範囲によっても、収入は変わります。
大企業でスキルや経験を認められた顧問の場合は、年収1,000万円以上になることも珍しくありません。
一方、事業規模が小さく社員に支払う平均給与も低い企業では、高収入が見込めないケースも多いでしょう。
【関連記事】外部顧問の報酬相場は契約によって変わる?常勤と非常勤で報酬は異なる?
️顧問や相談役と参与の違いは?
顧問や相談役のほかに、参与という役職もあります。
参与は、顧問や相談役とはどのような違いがあるのでしょうか。
経営の意思決定権があるか
参与は、経営の意思決定権を持っています。
専門スキルや経験を持った社内人材向けの職能資格であるため、部長などの上級管理職を経験した人も多いです。
会社内での地位が非常に高く、役員を除けば、会社内の序列として最も高い順位に位置しています。
このため、役員のポジションがすべて埋まっており、役員と同程度の権能を持たせたい人材がいる場合などに、暫定的な措置として設置されるケースもあります。
また、経営のサポートが主な役割であるため、就任するには役員と同等かそれ以上の能力が必要です。
会社法に定義されているか
顧問や相談役は、会社法に定義されていませんが、参与は、会社法に定義されている役職です。
内閣総理大臣に助言を行う内閣官房参与など、公的機関の肩書きにも使用されています。
顧問や相談役は、会社法に定義されていないため、企業によって裁量や権限の範囲が異なります。
【関連記事】顧問の役職の順位はどのくらい?顧問は役員として扱われるケースもある?
️顧問を効果的に活用するためには?
顧問は専門的なスキルや経験に特化しており、相談役よりも企業から相談を受ける頻度も多いです。
特に外部顧問は、その分野の専門的なスキルや経験が足りない企業にとって、非常に心強い存在になるでしょう。
しかし、顧問と契約する際、ある程度のコストがかかる点には注意が必要です。
準備をせずに契約をしてしまうと、無駄なコストがかかったり、最適な人材を見つけられなかったりするリスクがあります。
これらを防ぐために、顧問をできるだけ効果的に活用することが大切です。
自社の課題を明確にする
顧問契約では、顧問に自社の課題やニーズを正確に伝える必要があるため、企業自身が自社の課題を正確に把握しておく必要があります。
自社の課題があいまいだと、最適な顧問とマッチングすることが難しくなり、無駄なコストが発生する可能性が高くなります。
顧問サービスを利用する
顧問サービスは、専門的なスキルや経験を活用したい顧問と、自社に足りないスキルや経験を探している企業をマッチングするサービスです。
担当の方が、企業のニーズを正確に把握した上で、最適な顧問を紹介してくれます。
実績のある顧問が豊富なため、採用後のミスマッチが起こることも少ないです。
顧問と契約する方法として、顧問サービスのほかに直接契約する方法もあります。
しかし、直接契約は、社内リソースだけで目的の人材を探したり契約書を作成したりする必要があるため、非常に大変です。
顧問サービスであれば、顧問とのマッチングや契約関係などをすべてサービス会社に代行してもらうことが可能です。
必要な時にだけ活用する
顧問サービスは、必要なときに必要な分だけ活用できるところを選ぶと良いです。
自社に合った顧問を見つけるのは簡単ではなく、場合によっては数ヶ月かかることも珍しくありません。
月額の定額料金を設定している顧問サービスを利用すると、顧問が見つからないのに料金を支払うことになります。
業務内容や業務工数に応じて、柔軟に費用を設定できるサービスを選びましょう。
️まとめ
顧問と相談役は、企業内での立ち位置や業務内容はほとんど同じです。
しかし、相談役よりも顧問の方が専門性に特化しており、企業から相談を受ける頻度も多いです。
特に、外部顧問は、長年にわたり培ってきた専門的なスキルや経験を持っているため、より幅広い企業の課題に対応できます。
自社に足りないスキルや経験がある場合は、非常に有効な存在です。
しかし、課題を解決するために適切な顧問を活用することができなければ、コストがかさむリスクもあります。
会社が求めているスキルや知見を保有している顧問を登用するためにも、顧問サービス等を利用するのも効果的です。
監修者情報
パートナー企業開発部門を経て、金融業界向けコンサルティングセールス業務に従事。
その後、ヘッドハンティングされWeb系スタートアップ企業の取締役等を歴任。
Webコンサルティングやメディアを運営するアークワードコンサルティング社を創業。