最終更新日 2024/10/31
産業雇用安定センターが実施した調査によると、約50%の企業が「副業を認める」または「認める予定」と回答しているように、副業を許可する企業の数は増加傾向にあります。
「将来のために収入源を増やしたい」「隙間時間を活用して稼ぎたい」など、副業に関心を持っている人も多いことでしょう。
本記事では、数ある副業の中でも「IT副業」にフォーカスして、IT副業の概要やメリット・デメリットについて解説していきます。
・IT副業のメリット・デメリットは?
・おすすめの案件は?
・IT副業の始め方は?
IT副業に興味関心を持っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
IT副業とは?
IT副業とは、文字通りITスキルを活用した副業のことです。
IT副業には、ウェブ開発やアプリケーションのプログラミング、データ解析やサーバーの運用管理、デジタルマーケティングやデザイン業務など幅広い種類があります。
リモートで完結するものも多く、会社員が副業として隙間時間を活用して稼ぎやすいのも特徴のひとつです。
案件形式には「プロジェクトベース」「時間単価制」「サブスクリプション制」「出来高制」などがあります。
以降では、それぞれの案件形式について解説していきます。
プロジェクトベース
プロジェクトベースとは、特定のプロジェクト単位で仕事を請け負い、そのプロジェクトの完了に応じて報酬が支払われる形式です。
案件の内容は、ウェブサイトの開発やアプリの制作、システム構築などが一般的です。
契約時にゴールや納期、報酬が明確に定められ、プロジェクトが完了するまでが契約期間となります。
成果物の完成や納品が基準になるため、進行のスピードによっては短期間で高額報酬を得られる可能性がありますが、納期や品質などにおいて責任も大きい形式といえるでしょう。
時間単価制(時給ベース)
時間単価制は、アルバイトの時給性と同じく、作業時間に基づいて報酬が決定される形式です。
1時間あたりの単価があらかじめ決められており、実際に作業した時間に応じて報酬が支払われます。
エンジニアやデザイナー、コンサルティング業務など、長期間のプロジェクトでよく見られます。
この形式は、働いた時間がそのまま報酬に反映されるため、クライアントとの信頼関係が重要です。
また、予想外に時間がかかってもその分の報酬が得られるため、安定した収入を期待できる一方、効率よく進める能力が求められます。
サブスクリプション制(定額契約)
サブスクリプション制は、クライアントに対して継続的なサービスを月額や定額で提供し、その対価として一定の報酬を得る形式です。
たとえば、Webサイトの運営管理やシステム保守、SEO対策やマーケティング支援などのサービスを定期的に提供するケースが一般的です。
継続的に収入が得られる点がメリットで、毎月一定の収入を期待できますが、クライアントとの契約が長期にわたるため、信頼関係を維持し、定期的にサービスの価値を提供し続ける必要があります。
出来高制(成果報酬型)
出来高制は、仕事の成果に応じて報酬が決まる形式です。
成果物や成果達成が基準となり、たとえばWebサイトの集客数や売上高、プロジェクトの完了度合いなどに応じて報酬が支払われることが多いです。
報酬額が成果に比例するため、高い成果を上げれば報酬も増えますが、逆に成果が上がらないと報酬が少ないか、もしくはゼロになるリスクもあります。
マーケティングや営業案件で多く見られる形式で、実績に自信がある人には魅力的な報酬形態です。
IT副業のメリット
副業で働くことが珍しくなくなった現代では多様な案件が存在しますが、その中でもIT副業を選ぶにはどのような理由が挙げられるのでしょうか。
ここでは、IT副業のメリットについて解説していきます。
収入の多様化と安定性の向上
IT副業は、ITスキルを活かして複数の収入源を確保できる点にあります。
本業に加え、IT副業を通じてプロジェクトや契約を複数同時に進行できるため、収入の源泉が一つに依存しなくなります。
たとえば、IT業界は需要が高く多くの案件があることから、複数のクライアントから依頼を受けることでリスク分散することが可能です。
特定の分野での不況や仕事の減少が起きても、他の分野から収入を得られることは大きなメリットであるといえるでしょう。
また、リモートで働ける案件が多いため、地理的制約がなく、世界中のクライアントと仕事ができる点で収入の安定性があることもポイントです。
他職種の副業よりも報酬が高く、長期的に安定した収入を見込むことができるため、副業をうまく活用することで経済的な安定が得られやすくなります。
スキルの向上とキャリアの成長
IT副業を通じて様々なプロジェクトに取り組むことは、スキルや実務経験が評価されやすいエンジニアにとって、スキルの向上やキャリアの成長に役立ちます。
副業では本業では扱わない新しい技術やツールを使うことが多く、自分で参画する案件を選べることから、望むキャリアを見据えて最新のトレンドに触れながら自己成長の機会が得られます。
さらに、副業では異なる業界やクライアントと仕事をするため、異業種の業界知識を身につけられることも魅力的です。
これにより、広い視野とスキルセットを持つことができ、自身のキャリアにおける市場価値が高まります。
実績やスキルが増えれば、将来的にはより高収入な案件やフリーランスとしての独立、さらには本業での昇進やキャリアチェンジの可能性も広げられるでしょう。
フレキシブルな働き方が可能
IT関連の仕事はリモートワークとの親和性が高いため、特定のオフィスや決まった時間に縛られることなく、自宅や好きな場所はもちろん、本業の合間や空き時間を使って効率的に仕事を進められるのが特徴的です。
また、時間単価制やプロジェクトベースの仕事が多いため、自分の負担やスケジュールに合わせて案件を選ぶことができるのも大きなメリットです。
たとえば、短期間で集中的に稼ぐプロジェクトを選んだり、長期にわたりゆったりと取り組める案件を選んだりすることで、プライベートや本業とのバランスが調整しやすいでしょう。
このように、IT副業はフレキシブルな働き方ができるため、ライフスタイルに合わせて働きやすい副業なのです。
IT副業のデメリット
高収入やキャリアアップの機会が得やすいIT副業ですが、その一方で注意点も存在します。
ここでは、IT副業のデメリットについて解説していきます。
クライアントとのトラブル
IT副業では、フリーランスと同様に企業に所属せずに働くことが多いため、有事の際には自分でトラブル対応しなければなりません。
また、案件ごとにクライアントとのやり取りが多く、期待のズレやコミュニケーション不足が原因で問題が生じやすいことにも注意が必要です。
具体的には、要求の不明確さから修正が多発したり、報酬の支払いが遅れたり、または支払われないリスクもあります。
特にリモート案件の場合にはオンラインでのやり取りが中心となり、それによって誤解が生じやすいことから、トラブルを発生させないためにも信頼関係を築くことを意識しましょう。
スキルや実績が必要
IT副業の案件は、企業が推進しているプロジェクトにおいて不足している人材リソースを埋めることを目的としているものが多く見受けられます。
そのため、スキルや実績が不足していると、案件へ参画できない可能性が高いです。
さらに、実績がないとクライアントに信頼してもらうことが難しく、案件獲得の際に大きなハードルとなります。
そのため、スキルと実績を積むことが、IT副業を始める際の課題になるといえるでしょう。
自己管理に注意
IT副業に限らず、副業は本業と違って働けば働くほど稼ぐことができるケースが多いです。
そのため、本業が疎かになってしまったり、副業案件を受注しすぎて時間に追われてしまったりする人も少なくありません。
副業をする際には、無理をして体調を崩してしまっては元も子もないため、自己管理には十分に配慮したうえで働くようにしましょう。
IT副業のおすすめ5選
IT副業には様々な種類の案件がありますが、ここではその中でもおすすめの案件を紹介していきます。
Web開発
Web開発の案件は、在宅で対応できるものが多く、副業でも働きやすい点にあります。
リモート案件は通勤の必要がなく、自分のペースで仕事を進められるため、会社員でも隙間時間を活用したい人にもおすすめです。
また、短期的な案件や週1回の作業でも対応可能なプロジェクトが多数存在し、本業が忙しい人でも柔軟に副業を続けやすいのが魅力です。
さらに、Web開発は需要が高く、スキルアップや経験を積めば、幅広い分野での仕事に対応できるようになります。
Web関連のスキルは初心者でも比較的学びやすい言語やフレームワークが多いため、副業としてスキルを身につけながら仕事に取り組める点もポイントです。
プログラミング講師
プログラミング講師の案件は、学習塾の講師のように週1稼働や週末だけでも働ける案件が多く、スケジュールの柔軟性が高い点です。
そのため、本業が忙しい人でも、平日の仕事に影響を与えずに副業として取り組むことができるため、時間を有効活用できます。
また、プログラミング講師の仕事は、自分が培ってきたスキルや知識を教えることで収入を得られる点が大きな魅力であり、それによって自分の知識を整理し、より深く理解できるため、自己成長にもつながります。
さらに、ITスキルの需要はますます高まっており、特に初心者向けの講座やスキルアップを目指す人のニーズが多いため、安定した需要があることにも注目です。
Webデザイン
Webデザインの副業案件は、在宅でできる案件が豊富で、時間や場所にとらわれずに自分のペースで仕事を進めやすいためおすすめです。
また、プロジェクトの進行状況や締め切りに合わせて自分のスケジュールを調整しやすいことも魅力のひとつです。
自分のペースで作業を進められるので、忙しい日々の中でも効率的に仕事をこなしやすく、無理なく本業との両立ができるでしょう。
さらに、デザインスキルは非常に需要が高く、Webサイトやアプリのデザイン、企業のブランディングに至るまで、幅広い分野で活躍できるため、安定した収入を期待できます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントの副業は、企業に対して週1回や土日のみで対応できる案件が多く、効率的に働きやすいです。
また、ITコンサルタントは副業であっても報酬が高いため、短期間で高収入を得やすいことにも注目です。
さらに、コンサルタント業務では、企業のITシステムの改善提案やプロジェクトの進行支援など、さまざまな企業に関わることができるため、スキルや経験を広げやすいメリットもあります。
コンサルタントはフリーランスとして独立もしやすいため、安定して高収入が得られる土壌ができたら会社員からの転身も検討してみて良いでしょう。
データ分析
データ分析の案件は、プロジェクトベースの仕事が多く、限られた時間で対応可能できるためおすすめです。
基本的に、決まったスケジュールに縛られず、特定のプロジェクトごとに成果を出す形式が一般的なため、時間的な柔軟性があります。
さらに、データ分析は企業の意思決定やマーケティング戦略に直接影響を与える重要な役割を果たすため、需要が高く、専門スキルを活かして価値を提供できる副業として魅力的です。
データに基づいて具体的な洞察を提供し、プロジェクトごとに成果を出すことで、限られた時間でも大きな成果を上げることができます。
IT副業の始め方
副業に興味を持っていても、いざ始めようとすると何から手をつければいいか悩んでしまう人は多いものです。
ここでは、IT副業の始め方を解説していきます。
所属企業で副業が許可されているか確認
副業が解禁され、許可を出している企業が増えてきているとはいえ、所属企業が不可としていることもあり得ます。
後々に発覚してトラブルになってしまっては本業に差し支えが出てしまうため、副業を始める前に許可されているのか確認することは必須です。
しかし、許可されていない企業で上司や管理部へ確認して「副業を始める気なのでは?」「許可がなくても働くのでは?」など疑われることを心配する人もいることでしょう。
そのような場合には、就業規則に記載されていないかチェックするのも方法のひとつです。
最近では、求人情報に「副業可」といった内容を掲載している企業も多いため、そちらも確認してみましょう。
IT副業案件の獲得
所属企業で副業を許可されていても、実際に働くためには案件を獲得しなければなりません。
以降では、IT副業案件の獲得方法について解説していきます。
フリーランス・副業向けエージェントを活用
フリーランス・副業向けエージェントの活用は、効率よく案件獲得したい人におすすめの方法です。
利用登録後、アドバイザーとの面談(ヒアリング)で希望条件を伝えることで、キャリアやスキルにマッチした案件を紹介してもらえるため、自分で探さずに案件を見つけられます。
また、エージェントは案件紹介だけではなく、キャリア相談にも乗ってくれるため、本業の上司や先輩に話しにくい内容でも頼ることができる点も魅力的であるといえるでしょう。
クラウドソーシングの活用
クラウドソーシングサービスに掲載されている案件に提案して、受注する方法もあります。
エージェントのように紹介を受けることはなく、案件探しや稼働率など自分のペースで進められるメリットがあります。
また、登録しているプロフィールによっては、クライアントから逆提案を受けることもあり、自身の市場価値を見直すきっかけにもなるでしょう。
ランサーズやクラウドワークスのようなプラットフォームに掲載されている案件に提案する以外に、ココナラのように自身が提供できるサービスを掲載して依頼を待つ方法もあります。
直接営業
エージェントやクラウドソーシングサービスを活用せず、企業へ直接営業を行って案件を獲得する方法もあります。
ハードルは高いですが、受注できればシステム手数料やマージンが発生しない分、高収入が期待できるのが魅力的です。
直接営業をする際、所属企業と取引関係があるとトラブルになるため、選定の際には十分に気を付けましょう。
友人・知人からの紹介
友人・知人から副業として働ける仕事をもらうことも方法のひとつです。
直接営業と同様、システム手数料やマージンが発生しないため、高収入が期待できます。
ただし、友人・知人が所属している企業の案件へ参画した場合、トラブルを起こすと紹介者に迷惑をかける恐れがあるため要注意です。
IT副業でよくある質問
ここでは、IT副業でよくある質問についてQ&A形式で解説していきます。
未経験でもIT副業はできる?
親和性の高いスキルや実務経験があれば、未経験領域の副業案件へ参画することは可能です。
一方、IT系の仕事に対して全くの未経験であった場合、エージェントやクラウドソーシングに登録しても案件獲得は厳しいのが現実です。
全くの未経験からIT副業を始めたい人は、プログラミングやサーバー構築など必要なスキル・知識を習得して、案件を獲得できるよう準備してから臨むと良いでしょう。
副業を始めるために必要なスキルや資格はある?
資格がなくてもIT副業を始めることは可能です。
副業向け求人情報を確認してもわかるように、資格ではなく実務経験の有無を問われることがほとんどです。
ただし、資格の取得はスキルや知識を保有していることを客観的に証明されるものであるため、案件獲得に向けた提案の際に役立つ可能性があります。
副業の税金や確定申告はどうすればいい?
副業で得た収入には税金がかかり、副業の年間所得(収入から必要経費を引いた額)が20万円以上の場合、確定申告を行わなければなりません。
所得税は、主に確定申告で申告した副業の所得に基づいて計算され、翌年の3月15日までに申告・納税します。
住民税は、所得に基づいて地方自治体が計算し、翌年度に課されるもので、確定申告時に普通徴収(自分で納付)か特別徴収(給与から天引き)を選べるため、副業を本業の会社に知られたくない場合は普通徴収を選ぶと良いでしょう。
まとめ
この記事では、IT副業の概要やメリット・デメリット、始め方について解説してきました。
・IT副業のメリット・デメリット
・IT副業のおすすめ案件
・IT副業の始め方
IT副業は、IT人材が不足している現代において非常に需要があり、他の職種の副業よりも報酬が高いことから稼ぎやすい特徴があります。
メリットは収入面だけではなく、副業を始めることによって、本業では経験できない領域へチャレンジでき、スキルや実績を作ることで今後のキャリアの選択肢を広げることにも期待が持てます。
企業に所属しないで稼ぐ方法を身につけておくと、有事の際にも仕事や収入が途絶える不安が軽減するため、興味がある人はこれを機にぜひ挑戦してみてください。
引用・参考URL
参考:産業雇用安定センター | 従業員の「副業・兼業」に関するアンケート調査結果の概要
参考:ランサーズ公式サイト
参考:クラウドワークス公式サイト
参考:ココナラ公式サイト
パートナー企業開発部門を経て、金融業界向けコンサルティングセールス業務に従事。
その後、ヘッドハンティングされWeb系スタートアップ企業の取締役等を歴任。
Webコンサルティングやメディアを運営するアークワードコンサルティング社を創業。