【技術顧問について徹底解説!】役割、種類、採用のメリット・デメリットまで

最終更新日 2023/11/15

近年、企業のIT化やビッグデータの普及に伴い、高度な技術・スキルを持った技術顧問のニーズが高まっています。

顧問とは、企業の経営者に対して専門的な知見を持ってアドバイスをする人材のことを指します。

技術顧問とは、まさに技術的な観点から経営にアドバイスをする人材のことです。

企業によっては、技術的なアドバイスをしてくれる人材を採用したいと思いつつ、「技術顧問」という役割が何かよくわからない、という点から二の足を踏んでしまうことも多いのではないでしょうか。

今回は、技術顧問について具体的な役割を紹介するとともに、技術顧問を登用するメリット・デメリットを整理して解説します。

技術顧問の採用を検討している企業経営者の方は必見です。

技術顧問とは

まずは、技術顧問とはどのような立場、役割となっているかについて解説します。

技術顧問とは指導的な立場の技術者

技術顧問とは、技術的な観点から経営にアドバイスをする役割のことを指します。

そもそも顧問とは、企業の経営者に対して専門的な知見からアドバイスや指導を行う役割のことです。

つまり、技術顧問とは、技術力の向上、エンジニアの組織づくりなどの観点から経営にアドバイスをすることが役目になります。

注意点としては、あくまで「顧問」であるため、経営に関する意思決定権は持っていないということが特徴です。

技術顧問が必要になった背景

技術顧問が必要になった背景としては、近年の急速なIT化が挙げられます。

これにより、多くの企業でエンジニアの採用を通じた技術力強化の取り組みや、DXの推進が行われるようになりました。

一方で、優秀なエンジニアは希少人材であり、競争力の弱い中小企業やベンチャーは社内に優秀な技術者を採用しづらいことが現状です。

また、企業の経営陣がエンジニアではない場合、適切なエンジニア組織の構築に関する知識もありません。

こうした課題を解決するため、あくまでアドバイザーとして中小企業やベンチャー企業の技術的な課題解決をサポートする技術顧問のニーズが高まっていったのです。

スポットで相談に乗る顧問という形式であれば採用も比較的簡単かつ人件費も抑えることができるからです。

また、直近新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及したことにより、社員が各家庭で仕事をする上でのセキュリティ体制の整備のニーズが高まっています。

こうした際にも、技術顧問の意見を仰ぎながら体制を検討している企業は非常に多いです。

技術顧問の役割とは

技術顧問の役割は、技術に関する領域で経営に大きなインパクトを与えること全般に対して的確なアドバイスを行うことです。

具体的には、以下のような役割が考えられます。

組織を強化する

技術顧問の役割の一つとして、組織の強化、特にエンジニア組織の強化が挙げられます。

特にベンチャー企業では、当初は開発したいプロダクトに対して適切なスキルを持つエンジニアを採用していたものの、エンジニアの数が増えていくにあたって組織としての連携をとることが急務になっているケースが多いです。

こうした状況に対して、エンジニア各個人のモチベーション維持観点、スキル向上観点、事業成長観点など複合的な観点から適切な組織体制や連携のやり方をアドバイスすることが技術顧問の役割になります。

プロダクトの品質向上のための助言

プロダクトの品質向上のため、技術的な側面からアドバイスを行うのも技術顧問の役割です。

技術顧問にもいくつかの専門領域に分かれるため、プロダクトの改修部分に関する専門的な知見がない場合は、専門人材の採用や外部協力会社の選定などのサポートを行います。

一方、プロダクトの改修部分と技術顧問の専門分野が一致するときは、技術顧問自ら現場エンジニアの指導に回ることもあります。

課題とそれに対する解決策を見つける

組織的な課題や、プロダクトの直接的な品質に関わる部分に止まらず、会社の経営に関する中長期的な課題を見つけてそれに対する解決策を提示するのも技術顧問の役割です。

例えば顕在化していないものの将来的にこういった技術が不足する、といった予測を立て、それに備えて該当する領域のエンジニア採用を徐々に強化する、といった対策をとるのも技術顧問の重要な役割の一つとなっています。

技術顧問の3つのタイプ

技術顧問といっても、技術に関するあらゆる支援を行うのは、現実的ではありません。

実際は、技術顧問それぞれに得意領域があることが現状です。

具体的には、「事業開発支援タイプ」「経営コンサルティングタイプ」「特定技術領域のアドバイザータイプ」の3つに分かれます。

事業開発支援タイプ

事業開発とは、とある事業・プロダクトを成長させる上で、プロトタイプを細かく作って顧客検証をし、市場にフィットした事業を開発していくことです。

技術顧問の中には、こうした事業開発の支援を得意とするタイプが存在します。

こうした事業開発支援タイプの技術顧問には、プロダクトを素早くリリースまで持っていけるようにアドバイスをする技術力はもちろん、市場にあったプロダクト、ユーザーにとって使いやすいプロダクトにアップデートしていく力、すなわちUI/UXに関する強い理解や、マーケティング的な視点も求められます。

経営コンサルティングタイプ

経営コンサルティングタイプは、直接的に事業開発や技術そのものに関する支援を行うというよりも、経営的な観点から技術力の底上げを担うCTO的な役割を担います。

中長期的な経営方針を見据えた上でどういった技術を培っていくべきかといった経営陣との議論や、エンジニア組織の開発、体制構築、採用方針の策定など、強い技術力を持った会社を作るための基盤づくりを担います。

特定技術領域のアドバイザータイプ

特定技術領域のアドバイザータイプは、まさに特定技術に関して業界トップレベルの知見を持った人材が多いです。

経営や事業開発などには大きく関わらない一方で、特定の技術力の向上にコミットするタイプとなっています。

経営コンサルティングタイプや事業開発支援タイプは経営や事業に習熟したベテラン人材が登用されるケースが多いですが、特定領域のアドバイザータイプに関しては、若くても特定領域に精通したエンジニアが登用されることも多いです。

技術顧問を採用する4つのメリット

続いて、技術顧問を採用する4つのメリットを紹介します。

必要なタイミングで外注できる

技術顧問は、あくまで外部のアドバイザーという立場なので、常に雇用をしておく必要がなく、必要なタイミングでの外注、相談が可能です。

このため、同レベルの人材を役員や正社員として迎え入れるよりも採用難易度が低く、かつ採用コストや人件費を抑えられるというメリットがあります。

このため、コストを抑えたいベンチャー企業、中小企業にとっては最適な仕組みであると言えます。

第三者の視点でアドバイスがもらえる

会社内部で長く働いている技術者の場合、どうしても視点が会社の中に狭まってしまうというデメリットがあります。

一方で、外部の技術顧問を登用することで、第三者の視点で客観的なアドバイスがもらえることが特徴です。

特に技術顧問になるような人材は常に業界の第一線で活躍し、最新のトレンドや知見を持っていることが多いため、常に社内の文化、取り組みを刷新し続けることが可能です。

エンジニアのスキルがアップする

特に特定技術領域のアドバイザータイプの技術顧問の場合、特定領域においてトップレベルの技術力を持っています。

こうした技術顧問と社内のエンジニアを連携させることで、社内のエンジニアのベーススキルのアップにつながります。

技術顧問の人脈により事業拡大につながる

技術顧問は、業界においてもトップレベルの知見を持ち、幅広い人脈を有している場合が多いです。

このため、技術顧問を通じて様々なアドバイスを受け、かつ技術顧問の幅広い人脈を用いて社内外での事業拡大を進めることができるようになります。

技術顧問を採用する2つのデメリット

続いて、技術顧問を採用する場合の2つのリスクについて解説します。

契約期間中の契約解除のリスク

技術顧問など、顧問の採用に関しては、基本的には委任契約を結ぶことが一般的です。

委任契約の特徴としては、各当事者がいつでもその契約を解除できるという点にあります。

このため、技術顧問を仮に採用したとしても、技術顧問をうまく活用できる基盤が整っていなかったり、うまくコミュニケーションを取れなかった場合には、契約解除をされてしまうリスクがあります。

技術顧問の人選ミスによるリスク

技術顧問を必要とする会社は、一般的に技術的な知見に課題を感じている企業がほとんどです。

このため、そもそも技術的な知見がないが故に適切な技術顧問を選定できず、結果として技術顧問の人選ミスが起こってしまうリスクがあります。

まとめ

技術顧問とは、技術的な観点から経営に対してアドバイスを行う役割です。

近年、技術力の向上のため技術顧問を活用するベンチャー企業や中小企業が増えてきています。

技術顧問を活用することで、中長期的な技術経営の観点を入手できるだけでなく、エンジニア組織の体制構築や、特定技術の技術力強化など様々な効果が見込めます。

また、顧問であることから採用難易度や採用コストもそこまで高くないのもメリットです。

まさに、技術力に悩む企業に関しては、オススメの解決策の一つといえるでしょう。

一方で、採用する側の企業に技術力がない場合、適切な技術顧問を採用できず、ミスマッチになってしまうリスクもあるので注意が必要です。

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